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商標法第3条第1項全体に関する審判決の紹介

商標法第3条第1項全体について(その1)

3.商標法第3条第1項についての適用判断の基準時を「査定又は審決時」と解するのが相当であるとした事例(昭和46年9月9日 東京高昭和45年(行ケ)第5号)

原告は、まず、商標法3条1項3号の適用判断の基準時は、商標登録の出願時であるから、本願商標 の登録出願の後に刊行された引用文献を判断の資料とすることは許されない旨主張するが、同条項の適用判断の基準時は、査定または審決の時と解するのが相当である

けだし、商標法3条1項は、商標の登録に関する積極的な要件ないしは商標の一般的登録要件に関する規定、換言すれば、登録を出願している商標がそれ自体取引上自他の商品を識別する機能を有すべきことを登録の要件とする趣旨の規定であって、同項各号にかかる識別的機能を有しないものを列挙し、このようなものについては登録を拒絶すべきことを法定したものというべく、したがって、このような要件の存否の判断は、行政処分(商標 登録の許否が一の行政処分であることはいうまでもない。)の本来的性格にかんがみ、一般の行政処分の場合におけると同じく、特別の規定の存しない限り、行政処分時、すなわち査定時または審決時を基準とすべきものと解するのが相当であるからである(この理は、登録阻却要件を定めた商標法4条1項 についても同様であって、同条3項がこれについての例外的規定を設けていることも、このように解することによってその合理性を首肯することができるとともに、同条におけるこのような例外的規定の設定の事実は、3条についての前叙のごとき解釈をすることの相当な所以を裏づけるものともいうことができよう。)

もっとも、このように解した場合、かりに特許庁が不当に査定ないし審決を遷延することがあったとすると、その間に出願人が登録出願をしている商標について登録要件が欠けるに至り、その結果、出願人が不当な不利益をこうむるという事態の発生が絶無であることを保しがたいが、このような不当な不利益は別途にこれが救済を受けうべく、かかる事態の発生のおそれがあることを理由に法律上何ら特別規定がないにもかかわらず、商標登録に関する処分に限り、通常一般の場合と例を異にし、行政処分すなわち商標登録についての要件の存否を行政処分の申請時すなわち商標登録の出願時を基準として判断決定するというごとき解釈は、当裁判所の到底採用しがたいところである。

知財の鉄人のコメント

行政判断の基準時は、「査定又は審決時」が大原則です。
これ以外の時期(例えば、出願時)で判断する場合には、商標法第4条第3項のように条文に明文化されています。

商標法第3条第1項全体について(その2)

4.商標法第3条の登録要件の認定判断は、審決時(査定時)における取引の実情等を勘案して行われるべきであり、過去の登録例には左右されないとされた事例(平成6年10月20日 東京高平成6年(行ケ)第35号)

本願商標は、下記に表示した構成よりなり、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、測定機械器具、医療機械器具」等を指定商品とするものである。商標が自他商品識別機能を有するものであるかは、拒絶査定に対する不服の審判請求に対してなされた審決時を基準時として、その指定商品との関係において、当該商品の取引の実情を勘案して判断すべきである

原告は、「URO」「ウロ」という語と他の商品の品質を連想させる語との結合とからなるもので過去において登録された商標が多数あるとして例示するけれども、本審決時における「URO」「ウロ」 という語の意味、取引の実情、指定商品との関係、組み合わせた語句との関係等を無視して一般的に比較することはできないといわざるを得ず、これらの既登録例があることをもって、本願商標の識別力についてこれを有しないとした認定判断を覆すことはできない

    【本願商標】

知財の鉄人のコメント

拒絶理由通知に対し、本願の事情とよく似たもので、既に登録になっている他人の登録商標を引き合いに出し、本願商標の登録の正当性を主張する意見書があります。しかしながら、事例によって異なると判断されて登録査定に至らないことも多いのが現在の実務です。やはり、本願商標の査定時又は審決時における取引の実情等を調べ、当該取引の実情に沿って反論していくことが王道です。

商標法第3条第1項全体について(その3)

5.本願商標が登録されるべきであるかどうかは、専ら、審決時において、我が国において本願商標が活字等の取引者又は需要者においてどのような意味を有するものとして認識され用いられていたかによって判断されるべきであるとされた事例(平成13年7月18日 東京高平成12年(行ケ)第427 号)

本願商標は、「HELVETICA」の欧文字を書してなり、第9類「産業機械器具、事務用機械器具」等を指定商品とするものである。

証拠によれば、本願商標の「HELVETICA」のほか、「Helvetica」及び「ヘルベチカ」ないし「ヘルヴ ェチカ」の語は、欧文書体の一書体名であるヘルベチカ書体を意味するものとして使用されていることが認められ、他方、本願商標が特定の商品出所を表示する識別力を有すると認めるに足りる的確な証拠はない。

そうすると、我が国において、本願商標を指定商品中「ヘルベチカ書体の活字及び写真植字機の文字盤」に使用しても、単にその商品の品質を表しているにすぎず、また、これを上記商品以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるとした審決の判断は正当というべきである。

本願商標が登録されるべきであるかどうかは、専ら、審決時において、我が国において本願商標が活字等の取引者又は需要者においてどのような意味を有するものとして認識され用いられていたかによって判断されるべきである

一般に、商標としての商品識別力を有していた標章が時代の推移とともに商品識別力を喪失することはまれではなく、また、特定の国において商品識別力を有する標章が、他国においては商品の一般名称又は品質表示として用いられているということもまれではない。本願商標の由来が原告主張のようなものであったとすれば、本願商標が長年にわたり広く使用された結果、今日の我が国においては、欧文書体の一種であるヘルベチカ書体を表すものとして、取引者又は需要者に広く認識され用いられるに至ったものと推認される。

知財の鉄人のコメント

我が国において時代の推移とともに商品識別力が喪失することもあり、外国において商品識別力を有する標章が我が国において一般名称又は品質表示として用いられることもある。やはり、既存事実や他国での事例よりも、本願の審決時における取引の実情を考慮して意見を主張しなければ、なんら説得力がありません。

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