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特許・実用新案の侵害鑑定

侵害鑑定のご依頼から鑑定書納品までのプロセス

侵害鑑定のご依頼から、侵害鑑定書納品までの流れをご説明いたします。

弁理士相談

先ずは、弁理士相談において侵害鑑定の趣旨や背景をお話しください。
イ号物件(侵害が疑わしい製品・方法)の技術内容についてご説明して頂きます。

お客様に持参して頂くもの

侵害鑑定の前提として、イ号物件と対象特許(対象実用新案)の特定が必要です。

  • イ号物件については、お客様に持参(特定)して頂きます
  • 対象特許(対象実用新案)については、特許番号(登録番号)を教えて頂ければ、当所において公報を取り寄せます

平日の昼間はお仕事で忙しいという方のために、平日の夜間・土日もご相談を受け付けております。

御見積の提示

侵害鑑定の概算費用については、弁理士相談の場で口頭で回答し、相談後、メールにてお見積書を送ります。

契約書の締結及びイ号物件の完全特定

ご依頼の意思決定がされましたら、再度、当所にご訪問して頂き、弁理士相談で侵害鑑定依頼の契約書の内容を説明します。その場で契約書にサインして頂き、契約を締結します。
次にイ号物件の追加説明をして頂き、また当所からは技術的事項の質問を行い、回答して頂きます。このタイミングで、イ号物件の技術内容を完全に把握します。

お客様に持参して頂くもの

契約書を締結するためにお客様のご印鑑(法人なら代表者印、個人なら認印)を持参して頂きます。併せてイ号物件も持参して頂きます。イ号物件は、侵害鑑定の納品が完了するまで当所でお預かりさせて頂きます。

  • イ号物件
  • ご印鑑

STEP2は、STEP1と同時に行うことが可能ですが、侵害の成否には多くの情報が必要となるため、相応のお時間を要すると考え下さい。もちろん、別日での対応も可能です。柔軟に対応し、お客様の便宜を図ります。

侵害鑑定書起案に要する時間

契約が成立すれば、すぐに着手します。侵害鑑定の起案納期は1か月程度です。技術が難解なものは、少しお時間を要します。
お客様に鑑定書の納品を急ぐ理由がある場合には、適宜、ご相談ください。特急での依頼の場合には、特急料金が別に発生します。

侵害鑑定書の起案

ご依頼日から1か月程度で侵害鑑定書の起案が完了します。
侵害鑑定書の起案が完了すれば、メールにて納品します。
お客様には、次回の弁理士面談日までに、侵害鑑定書の内容をチェックして頂きます。

お願い事項

侵害鑑定書の起案過程において、イ号物件の内容についてお客様に質問することがあります。その場合には、お手数ですが、ご回答をお願いします。

次回の弁理士面談のアポイント

侵害鑑定書の内容を説明するための弁理士面談を行います。
お客様には、ご都合の良い日時に当所に来所して頂きます。

侵害鑑定書の説明及び修正

弁理士面談において、侵害鑑定書の内容を説明させて頂きます。このとき、侵害訴訟が提起された場合の勝敗のポイントもお伝えします。
なお、侵害鑑定書の修正希望箇所(例えば変更された部分など)について、協議を行い、必要に応じて侵害鑑定書の修正を行います。

弁理士面談の目標
  • 侵害鑑定書の説明
  • 侵害鑑定書に対する質疑応答
  • 侵害鑑定書の修正(必要に応じて)
  • 侵害訴訟の勝敗の見解及び訴訟提起時の重要事項の説明

侵害鑑定書の納品

お客様に侵害鑑定書を納品します。

侵害鑑定書の納品は郵送

お客様の住所に侵害鑑定書の原本(弁理士印を押印したもの)および請求書を郵送します。紙媒体の郵送ではなく、メールにてデータ送信することも可能です。

弁理士報酬等のお振込み時期

侵害鑑定書の納品時に請求書を同封しておきますので、月末締め翌月払いのルールで、お振込みをお願いします。請求書の日付やお振込み日についてのご相談も受け付けますので、お気軽にご連絡ください。
なお、振込手数料は、お客様にてご負担をお願いします。

お困りの方はお気軽にご連絡ください。お客さま一人ひとりに最もふさわしい解決策を一緒に考えさせていただきます。

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侵害鑑定は弁理士によって結論が変わる!
侵害訴訟の経験と専門技術分野が成功の鍵

弁理士に鑑定を依頼する真の理由とは

弁理士に鑑定を依頼する理由は何だと思いますか?

あなたが知的財産権の侵害について全く知識がなく、それであなたの会社が知的財産権を侵害しているとして他社から侵害警告を受けた場合、あるいは他社があなたの会社の知的財産権を侵害していると思っている場合には、当然ですが、本当に侵害が成立するのかを判断するために、弁理士の侵害鑑定が必要になります。

それでは、あなたの会社に知的財産部(知財部)があり、知財部に弁理士資格を持った社員が在籍して侵害鑑定の判断することができる状況では、どうでしょうか?

このような状況でも弁理士に侵害を依頼するでしょうか?

現状としては、仮に社内弁理士が在籍していた場合でも、特許事務所の弁理士に対して侵害鑑定を依頼します。コストをかけて外部(社外)の弁理士に依頼する理由は何だと思いますか?

この目的は第三者による公平な意見を求めることにあるのです。

社内弁理士が判断すれば、利害関係人による鑑定において自社に有利となるように判断するバイアスが生じます。実際、訴訟が提起されば、裁判所で公正に審理されるため、そのようなバイアスは訴訟の先読みを見誤る結果になり、大きな不利益につながります。

そこで、第三者である外部の弁理士に侵害を鑑定を依頼することになります。第三者から見ても「黒」ならば、それをどのようにして「白」にするのか、すなわち、どのようにして自社の弱みを解消するかを考えます。ただし、外部弁理士による侵害鑑定で、仮に「白」と判断されても、訴訟が起きないという保証にはなりませんので、訴訟に備えて具体的な対策を事前に検討しておく必要があります。

また、社外の弁理士に侵害鑑定を依頼する理由として、もうひとつ重要な理由があります。

それは、社内弁理士が鑑定しただけでは、大きな事件が起きた時に株主のような社外の相手に対して正当な言い訳ができなくなるという問題が残ります。

この点、社外の弁理士に侵害鑑定を依頼し、専門家の意見を得ていれば、企業として正当な言い訳になることがあります。その意味で、社外の弁理士による侵害鑑定は、株主総会や株主代表訴訟での対応を考えて、企業経営のコンプライアンス遵守における安全対策の一つであるといえます。
 

社外の弁理士による鑑定の目的は、

  1. 第三者の公平な意見を得ること
  2. 株主総会や株主代表訴訟等において対抗できる、企業経営のコンプライアンス遵守のための安全対策を得ること

鑑定とは何か?

鑑定とは、

  1. 侵害成否を検討する抵触鑑定
  2. 無効理由を有するか否かを検討する特許性鑑定
  3. 補正の適否、分割、変更の適否を検討する要件鑑定
  4. 先使用権などの抗弁権を有するか否かを検討する鑑定

などをいいます。

特許権侵害で侵害者を訴えても、様々な理由で敗訴することがあります。その中でも、特に、

  • 技術的範囲に属するか否か
  • 特許に無効理由が存在するか否か

が大きなポイントになります。

実務ではこれらを侵害鑑定と呼んでいます。

このような判断は、特許実務や過去の裁判例などを精通していないと、裁判官の判断を先読みすることはできません。

このため、特許権が有るからといって、特許権者が感情的になって商売相手に対する訴訟提起を乱用すると、敗訴という形で、手痛いしっぺ返しをくらうことになります。

本当に相手が自分の特許権を侵害しているのかどうか、訴訟になった場合、勝ち目があるのかないのかなど、多くの要件について難しい判断を行わなければなりません。


逆に、特許権者から特許権侵害として訴えられた場合でも、こちらが訴訟で勝訴する場合もあります。

見知らぬ会社から特許権や商標権を侵害する旨の警告が送られてきた場合には、慌てず、落ち着いて、その中身を十分に検討し、こちらの実施製品や商品が相手の権利侵害になるのか否かを正確に判断することが重要です。

 

以下、特許権者にとって手痛い裁判事例をいくつか示します。

  •  権利範囲がとても広い基本特許を取得して、相手方を特許権侵害で訴えた事件で、裁判所が、被告製品が特許発明の技術的範囲に属するとして判断しましたが、同時にこの特許には無効理由が存在するとして、結局、特許権侵害を認めなかった事例。
     
  •  特許権侵害訴訟を提起する場合、被告製品を入手して特定しなければなりませんが、被告製品を入手するための費用や手間をケチってホームページだけの情報で被告製品を特定した結果、被告製品の特定が具体的ではないとして補正を求められた事例。
     
  •  相手方の製品を特定して特許権侵害訴訟を提起したけれど、訴訟の継続中に相手方が自社の製品を設計変更した結果、裁判所による特許権侵害の心証開示が得られたものの、相手方に逃げられたしまった事例。
     
  •  相手方を特許権侵害として訴えたが、相手方も自社で特許権を所有しており、こちらがその特許権を侵害するとして反訴され、泥沼化した事例。
     
  •  相手方を特許権侵害として訴訟を提起したが、相手方から代理人変更や訴訟遅延行為(期日の引き延ばしなど)の行為を受け、結局、訴訟提起から一審の判決までに2年以上の期間を要した結果、訴訟する気力も、予算も底をついた事例。


上記の手痛い裁判事例に陥らないように、特許権侵害などの弁理士鑑定では、裁判沙汰になる前に、特許権侵害の成否の鑑定だけではなく、訴訟の中で注意すべき点を細かく提示し、お客様にとって訴訟することが得なのか損なのかを提示していきます。

 

万一、相手方から特許権侵害として警告を受けた場合でも、相手方の特許権を本当に侵害しているのか否かを詳細に検討することが先決であり、仮に侵害している可能性が高いと判断した場合にはライセンス契約の是非を検討することが重要になります。それでも相手方から強引に特許権侵害訴訟が提起された場合には、相手方の弱点を見つけ出し、勝訴にもっていく対応が求められます。そういう事態に至らないためにも、侵害の成否に関して、弁理士の鑑定書を入手しておいた方が無難です。

 

これらの対応は、特許権侵害に限られるものではなく、商標権や意匠権の侵害の他に、不正競争防止法・著作権の争いにおいても同様です。

最近はネット社会になり、誰でもサイト上で商品を販売することが可能な時代になりました。このため、商標権侵害の事例が急増しており、弊所においても、商標権侵害の警告書をもらった方や、相手方の商標権侵害行為を見つけた方から、多くの相談が寄せられています。一人で悩まずに、信頼できる弁理士や弁護士の専門家に相談することが必要になります。

 

特に、

  • 相手が自社の特許権を侵害していると思われる方
  • 特許権者からあなたの製品が特許権侵害であると警告されている方
  • 相手方の商品に自社の商標権と類似するロゴが使用されていると思われる方
  • 商標権者からあなたの商品が商標権侵害であると警告されている方

にとって、特許権侵害訴訟の訴訟代理人や補佐人経験がある弁理士が、中立的な立場から、解決に寄与できる指針となる鑑定書を作成いたします

 

特許発明の技術的範囲の考え方(特許権侵害鑑定)

侵害鑑定のなかでも、特許権侵害鑑定では、「特許発明の技術的範囲」をどのように解釈するのかで訴訟の勝敗が決まるといっても過言ではありません。特許発明の技術的範囲の解釈については、訴訟経験のあるベテラン弁理士のなかでも見解がわかれることもあります。このため、顧問弁理士による特許権侵害鑑定に加え、セカンドオピニオンとして他の弁理士や弁護士の見解も入手することが賢明です。

特許法第70条
  1. 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。
  2. 前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。
  3. 前2項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。

特許権の効力は、特許請求の範囲に及びます。特許法第70条第1項において、「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と記載されていますが、無体物を対象とする特許法においてその範囲を認定することは容易ではありません。これまで、「特許請求の範囲の記載に基づいて」の解釈につき、さまざまな議論が行われてきました。
以下、判例等によって確立された判断基準について説明します。

特許請求の範囲基準の原則

特許請求の範囲に記載されている発明が技術的範囲の判断の基準になります。換言すれば、特許請求の範囲に記載されていない発明、すなわち発明の詳細な説明又は図面にのみ記載されている発明を特許発明の技術的範囲判断の基準としてはいけません。
さらに、特許請求の範囲基準の原則から次のことがいえます。

  • 特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とが一致しない場合ないし矛盾する場合は、特許請求の範囲に基づいて技術的範囲を定めなければなりません。
  • 発明の詳細な説明中に広い範囲の発明を記載しながら、特許請求の範囲を狭い範囲で記載するときは、原則として、狭い範囲の技術的範囲しか主張することができません。
  • 特許請求の範囲は、1つの発明の構成に欠くことができない事項を記載すべきところであるから、1つの特許請求の範囲に複数の要件を記載しているときであっても、複数の要件の各々に独立した技術的範囲を主張することは許されません。

発明の詳細な説明および図面の参酌

発明の技術的範囲の認定の際には、発明の詳細な説明や図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義が解釈されます。
ただし、発明の詳細な説明等の参酌は、「特許請求の範囲基準の原則」を超えるものではありません。したがって、発明の詳細な説明・図面に記載されていても、特許請求の範囲に記載されていない事項を特許請求の範囲に記載されているものと解釈することは許されません。また、特許出願手続における発明の要旨認定(最判平成3年3月8日リパーゼ事件上告審)と相違して、特許請求の範囲が詳細な説明よりも広い場合には、詳細な説明等を参酌して特許請求の範囲が限定的に狭く解釈されます
なお、願書に添付した要約書は、特許発明の技術的範囲の認定基準とはなりません

出願経過の参酌

出願から特許成立に至るまでの手続のプロセスを通じて拒絶理由通知に対する意見書・補正書等で出願人が示した発明に関する認識・意図なども特許発明の技術的範囲認定の基準となります。例えば、特許権者が、出願中に審査官の拒絶理由に対応し、発明の要旨を限定したとき又は発明の特徴を明瞭になものにするため、特許請求の範囲又は発明の詳細な説明の記載につき補正又は釈明をしたときは、補正前又は釈明前の明細書によって解される可能性のある技術的範囲を主張することは認められません。このため、補正は、将来の技術的範囲解釈上の重要な資料となることから、必要にして十分な範囲に止めるように慎重に検討しておくべきです。

公知技術の参酌

特許発明は出願時の技術水準をこえた新規なものでなければならないため、特許発明の技術的範囲の認定の際には、公知技術(技術水準)が参酌されます公知技術が特許発明の一部に含まれている場合には、公知技術は特許発明の技術的範囲に属しないと解釈されます。また、特許発明が全部公知の場合、本来的には特許庁の無効審判で無効にされるべきものですが、裁判所の訴訟手続の審理において権利濫用が認定され、もはや特許権を行使することはできません

一見すると公知技術の参酌と紛らわしいものとして、自由技術(公知技術)の抗弁があります。この抗弁は、公知技術の参酌と相違して、対象物件等が特許発明の技術的範囲に入るか否かとは関係なく、対象物件等が特許出願前の公知技術と同一または当業者がこの公知技術から容易に推考できた技術であると抗弁することをいいます。なお、現在の訴訟手続の法理では、自由技術の抗弁は、均等論(最判平成10年2月24日ボールスプライン軸受事件)の第4要件に組み入れられています。

特許請求の範囲基準の原則について訴訟経験からひと言

特許権侵害訴訟では、侵害しているとされる者が実施するイ号製品等が、対象となる特許発明の技術的範囲に属するか否かがポイントになります。その判断の際に、重要となる指標として、特許請求の範囲基準の原則があります。

実際に特許権侵害訴訟を代理した経験からいうと、裁判所の判断はとてもシビアです。特許請求の範囲の文言をひとつひとつ取り出し、イ号製品の構成と対比していきます。イ号製品のたったひとつの構成が、特許請求の範囲の文言からズレてしまうと、その時点で、以下の均等侵害に該当しない限り、非侵害と判断されます。この判断はびっくりするくらい厳密に行われます。このため、日々の出願手続では、特許出願から権利化に至るまでの間に、将来の侵害訴訟を予想して、狭い範囲に限定されないように、特許請求の範囲の表現を磨いておく必要があります

例えば、特許請求の範囲に「穴」と記載されており、イ号製品では『隙間』であると反論された。穴と隙間は表現が異なるが、意図する機能が同じで特許発明もイ号製品もその機能を利用しているため、実質同一のような気がしますが、文言上では異なっています。裁判所では当然、文言侵害ではないと判断されました。この事例では、特許請求の範囲の「穴」の表現について、例えば「通気手段」などと記載していれば、「空気が通るようにしたもの」と概念化できるため、『隙間』も含まれていたと考えます。このように、言葉ひとつで、侵害と判断されたり、非侵害と却下される、それが特許権侵害訴訟の実際の現場なのです。

文言侵害に該当しない場合でも、均等侵害が成立すれば、特許権侵害と認定される!

特許請求の範囲基準の原則によれば、侵害に該当しないケースでも、均等侵害が成立すれば、特許権侵害になる。これを均等論が適用されるといいます。しかし、均等論の適用にはクリアしなければならない要件があり、主張・立証がなかなか難しいというのが現状です。特許権者が権利行使する場合、少なくとも均等論に多くを期待することは避けた方が無難でしょう。

均等論とは何か-ボールスプライン軸受事件

特許権侵害訴訟では、対象物件または対象方法(イ号物件、イ号方法等)が、問題とされている特許権の「特許発明の技術的範囲」に属するか否かが問題となります。

「特許発明の技術的範囲」は、明細書の「特許請求の範囲」の記載に基づいて定められます。このため、「特許請求の範囲」に記載されていない発明は技術的範囲に属せず、これを実施しても特許権侵害が成立しません。

均等論とは、上記対象物件、対象方法等が文言上、特許請求の範囲に含まれていないにもかかわらず、一定の要件下で、文言どおりの特許発明と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するとして特許権侵害を成立させる考え方をいいます。現在、知財高裁や東京地裁の知財部では、事件の訴訟の手続において均等論の適否に関し、積極的に審理されています。特許権侵害訴訟では、イ号物件やイ号方法が均等発明であることを積極的に主張することがお得です。

最高裁が示した均等論の五つの適用要件

  1. 異なる部分が特許発明の本質的部分でないこと【第一の要件】
  2. 作用効果の同一性・置換可能性【第二の要件】
  3. 侵害時における置換容易性【第三の要件】
  4. 公知技術と同一又は容易推考でないこと【第四の要件】
  5. 出願手続で意識的に除外された等の特段の事情がないこと【第五の要件】

【第一の要件】異なる部分が特許発明の本質的部分でないこと

特許請求の範囲に記載された構成要件中の対象製品と異なる部分が、特許発明の本質的部分でないことが必要です。発明の本質的部分が異なり、これを置換した場合は、全く別個の発明になり、均等論の適用を論ずるまでもないからです。このため、特許権者は、異なる部分が「特許発明の本質的部分ではないこと」を説明します。

【第二の要件】作用効果の同一性・置換可能性

異なる部分を対象製品におけるものと置換しても、特許発明の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏するものであることが必要です。発明の構成要件の一部を置換したことによって全く別の作用効果を奏する場合は別個の発明になるからです。このため、特許権者は、異なる部分を「対象製品におけるものと置換でき、かつ同一の作用効果を奏すること」を説明します。

【第三の要件】侵害時における置換容易性

対象製品の製造等の侵害時において、当業者が前記置換行為を容易に思いつくことが必要です。当該要件について、特許権者は、技術分野の同一性や技術の近似性の観点から説明します。

【第四の要件】公知技術と同一又は容易推考でないこと

置換後の対象製品が特許発明の出願時の公知技術と同一または当業者がこれらから容易に推考できたものでないことが必要です。出願時点で公知であった技術の実施は自由であり、これに特許権の効力を及ぼすわけにはいかないからです。
第四の要件は被疑侵害者の抗弁事由と解されるころ、その立証責任は被疑侵害者側にあります。

【第五の要件】出願手続で意識的に除外等の特段の事情がないこと

特許権者が特許出願手続において置換後の対象製品を特許請求の範囲から意識的に除外した等の特段の事情がないことが必要です。これを禁反言の原則ともいいます。
第五の要件についても被疑侵害者の抗弁事由と解されるころ、その立証責任は被疑侵害者側にあります。

均等論の適用について訴訟経験からひと言

均等論の適用は特許権者に有利に作用します。このため、何でもかんでも均等論を適用して特許権侵害を認めてしまうと、特許請求の範囲基準の原則から離れてしまい、第三者に不測の不利益が生じるおそれがあるため、裁判所は均等論の適用においてかなり慎重な姿勢をとっています。
よって、均等論の適用に過大な期待をして権利行使をすると、失望にかわることになります。逆に特許権者から均等論侵害として訴えられた場合には、裁判所の均等論の適用が慎重であるため、訴えられた側が敗訴になることは可能性として低いといえます。
今後、プロパテントの時代に進展すれば、裁判所における均等論の適用ハードルがドカーンと下がり、特許権者に有利な判決が頻発するかもしれません。裁判官も時代とともに入れ替わるため、日々、判決を読み解き、裁判所の考え方を研究していくことが重要です。

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