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スタートアップ時に商標を決めることは、自社の顔を決めることと同じこと。自社のブランディングの芽として育てましょう。
商標は、長年の企業努力により商品やサービスの信用・信頼を得ているときに、高い経済的価値を有します。商標権を取得したからといって、すぐに商標が価値あるものになるわけではありません。
しかしながら、商標を権利として保護しておかないと、商標に化体した高い経済的価値を競合他社に悪用・利用されることもあります。そのような事態に陥れば、消費者・需要者が、商品・サービスの誤認混同することになり、不測の不利益を与えてしまう結果になりかねません。
このため、企業経営において商標は必要であり、商標権として適法に保護し、企業ブランドとして適切に管理していくことが求められています。
特に事業展開する前のスタートアップ企業にとっては、企業理念としての役割や事業の道しるべの役割を期待できるため、商標取得の必要性が高いものと考えられています。
現在では、企業が長年使用し続け、その信用・信頼を得た商標から生まれたブランドで、その企業価値が決定されていきます。よいブランドは、高い経営理念に基づいた企業活動によって形成されています。
実際の企業活動においては、その企業の商品やサービスに商標を付して、営業活動が行われています。商標によってよいブランドが形成されれば、消費者・需要者に対してよいイメージを与え、そのブランドに対する価値が高まり、販売競争を有利に展開することができます。
特に、商品の品質にあまり差がない場合には、ブランド力が重要な役割を果たし、その企業の評価も高めることができます。消費者・需要者にとっては、そのブランドを見て製造者がわかり(出所表示機能)、一定の品質が保証されていること(品質保証)を期待することができるのです。
よい商標により形成されるよいブランドは、企業に対して、次のような効果と価値を提供してくれます。
商標は、自己が指定する商品又は役務(サービス)に使用するときの名前であり、それらは、各企業の経営理念に基づいて決定されるのが一般的です。その意味で、企業の経営理念を商品やサービスの名前である商標を用いて、明確に打ち出すことができます。よい商標・よいブランドが企業理念を明確に伝え、コミュニケーションを推進する役割を果たすことにより、結果として社会からの信頼と信用が得られます。
よい商標・よいブランドは、企業評価や企業価値を高めてくれます。消費者・需要者から社会的に評価を得たよい商標・よいブランドにより、自信をもって事業を展開でき、企業経営のカラーを確立します。企業努力により企業評価を高めるとともに、よい商標・よいブランドにより社会的価値が認められれば、企業はオリジナルの経営資源を保有することができます。この結果、自社のブラントを確立でき、ネット全盛時代であっても、価格競争を回避することができます。
企業には常に、持続的発展を達成することが期待されています。社会的な高い評価を得たよい商標・よいブランドは、企業のシンボルとなり、ゴーイングコンサーン、すなわち永続的な発展を実現する駆動源として、企業経営に大きく貢献します。
企業は、常に有能な人材を必要としています。よい商標・よいブランドは、広告効果を有しており、企業イメージを形成しています。すなわち、企業が正義のもとで誠実に企業努力を継続することを通じて、その商標やブランドに社会的な信用が化体されていき、それが企業イメージの形成要素として大きく貢献します。多くの有能な人材はよい商標・よいブランドを頼りに就職活動をすることから、よい商標・よいブランドは、企業のリクルート活動に好結果をもたらします。
よい商標は、実際のビジネスにおいて、次のような効果と価値を提供してくれます。
グッドウイルとは、顧客吸引力、つまり消費者に対して商品・サービスの提供をうけたいと思わせる魅力をいいます。商標は、商品・サービスの魅力を十分に訴求するべく、企業理念やサービスのコンセプトに基づいて決定されるものです。このため、消費者・需要者のニーズにマッチした商標には、素晴らしいグッドウィルが形成されていきます。
商標や商号は、商品又はサービスを提供する企業の顔であり、商品・サービスや企業そのものを識別する有力な武器になります。このため、商標・商号の選択が業績に大きな影響を与えてしまいます。よい商標は、企業の実際のビジネスにおいて有益な財産的価値となります。
最近、あなたが使用している商標が特許庁で商標登録されていないことをいいことに、勝手に自分の商標として出願し、登録を受ける輩が急増しています。
残念ですが、とても物騒な世の中になってしまいました。
日本の商標法は、先願主義を採用しているため、特許庁に最先に出願した者が保護される法体系になっています。このため、例えばあなたが使用している商標があり、その商標が特許庁に登録されていなければ、別人がその商標を特許庁に出願して登録を受けることができてしまう。
別人の商標は、特許庁の審査で拒絶されないからですよ。なぜ拒絶されないのかというと、商標は発明と異なり選択物であり、新規性を要求していないから。だから、あなたが使用している商標をたまたま見かけ、良い商標と思って別人が特許庁に出願すれば、あなたの使用している商標が別人の商標として登録されてしまうのです。
最近のネット時代を迎え、特許庁の審査官もインターネットでネーミングを調査します。有名な未登録商標がヒットすれば、別人が出願した商標は拒絶されるのですが、それほど有名でなく、審査官のサーチで見つからない商標については、別人による同一の商標に商標権が発生するという怖いケースが起こり得ます。
別人が商標権を取得すると、商標権侵害としてあなたに警告が来る可能性があります。
このようなリスクを排除するためにも、あなたが使用する商標は商標登録しておくことが無難です。それなりの商標登録費用が発生しますが、悪意ある別人からの攻撃に対応することを考えれば安いものです。
不幸なことは、悪意ある別人が、あなたが使用している商標と同じ商標を登録してしまったら、どのような対応をすることができるでしょうか?
手続としては、主として、以下の3つがあります。
特許庁への情報提供とは、特許庁の審査官が審査に着手していない状況であれば、別人の商標出願が拒絶されるべきであることを主張した書面を提出し、事情を説明します。運が良ければ、こちらの主張が認められ、別人の商標出願が拒絶される効果が得られます。商標出願は出願後1カ月くらいで公開されるため、常に特許庁のJ-PLATPATで商標出願を調査しておく必要があります。面倒くさいけれど、一度登録されてしまうと、取り消すことは困難なので、頑張りましょう。
登録異議申し立てとは、別人の商標が登録されてしまったときに異議を申し立て、登録の取り消しを目的とする手続です。いったん特許庁に商標が登録されてしまうと、余程有力な理由がなければ、取り消すことはできません。取り消されるべき理由と根拠をどのくらい集めることができるかで勝敗が決まります。弁理士に依頼しなければなりませんが、登録異議申し立てができる期間であれば、この手続をとるしか道はありません。
登録無効審判の請求とは、登録異議申し立ての期間が経過し、また相手から商標権侵害の警告を受けたときに請求することができる審判です。こちらも、異議申し立ての理由と同様の理由を主張して、商標権を潰します。無効審判の場合は、異議申し立てと異なり、口頭審理で手続が進みますので、期間も長期にわたり、また特許庁の審判廷に出廷し弁論しなければなりません。異議申し立てよりも成功する確率は低くなります。
商品やサービスの優位化を図るうえで、最も簡単な手段が名前をつけることです。特に、セールスポイントとなる名前をつけることが重要です。したがって、商品・サービスの企画段階では、ネーミングである名前の決定が極めて重要な事業戦略になります。
企業が商品・サービスの販売活動を推進していくためには、商標の使用が必要不可欠になります。このため、商品・サービスの企画段階において、商品やサービスに対してネーミングを考えていくこが必要になります。
ネーミングを考える際に、最も重要なことは、法的にみてその商品の名称に問題がないことになります。具体的には、以下のことに注意が必要です。
ネーミングの案ができ上がれば、その評価を行い最終的な選択を行います。選択する際の具体的なチェック項目として、以下の点が重要項目になります。
商標権は、指定商品・役務(サービス)について登録商標を独占的に使用する権利です。正当な権原のない者が、商標権の指定商品・役務と同一又は類似する商品・役務について登録商標と同一・類似の商標を使用すれば、その商標権を侵害することになります。この場合、商標権者から商標権侵害訴訟が提起され、裁判所が商標権の侵害が成立すると認めれば、損害を賠償しなければなりません。
したがって、新商品のネーミングを検討する場合には、新商品と同種の商品や類似する商品又は役務の範囲に他人の登録商標や出願中の商標又はこれらに類似商標が存在するか否かを、事前に調査して、確認しておくことが必要不可欠になります。
他人の商標と同一又は類似する商標は、自己の商品コンセプトとマッチしており、使用したくても使用することはできません。より好ましくは、実務経験の豊富な弁理士に先行商標調査を依頼して、他人の商標権に抵触しないことの鑑定を得ておくことが一般的です。
もっとも、他人の商標権の商標をどうしても使用したい場合には、当該他人から商標権の譲渡を受けるか、使用権の許諾を求める道もありますが、法外なライセンス料を要求されたり、ブランドイメージが崩れるおそれがあるため、交渉は困難です。
商品・サービスの企画段階においては、事前の商標調査の他に、他人の商標権と抵触するか否かの法的検討(抵触鑑定)が必要になります。これらに備えて、日頃から、顧問弁理士に相談するなど、最低限の企業努力を払うことこそが、コンプライアンス遵守のために企業に課された責務だといえます。
商標は、商品又は役務(サービス)につけられた名前であり、特許庁により商標権として保護されます。商標権の取得の必要性については事業戦略に基づき決定されるべきものであり、任意です。
商号は、商人が営業上自己を表示するために用いる名称であり、法務局に登記します。会社設立時には商号を決めなければ登記申請を受け付けてもらえず、登記されなければ会社を設立したことになりません。
商標の出願や登記の申請は申請順で決められ、原則として、他人が先に登録した商標や登記した商号と同一のものについて、別の者が登録や登記を受けることができません。
商標 | 商号 |
TOYOTA | トヨタ自動車株式会社 |
SONY | ソニー株式会社 |
NTT DoCoMo | 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ |
商標 | 商号 | |
保護法 | 商標法 | 商法・会社法 |
機能 | 商品・役務の識別標識 | 商人(会社)の名称 |
構成 | 文字、図形、記号など | 文字 |
保護期間 | 登録から10年(更新可能) | 無期限 |
権利の及ぶ地理的範囲 | 日本全国 | 同一の住所 |
登記された商号が独占権を持つのは同一の住所に存在する場合に限られます。
例えば、「東京都新宿区新宿2丁目5番1号」で「株式会社東京綜合知的財産事務所」が既に存在している場合には、『東京都新宿区新宿2丁目5番1号』で『株式会社東京綜合知的財産事務所』の会社を新たに設立することはできません。
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