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何か商品を買うとき、ご飯を食べにお店に行くとき、あなたは何を基準にして選んでいますか?価格でしょうか?デザインでしょうか?企業名や店名でしょうか?
あなたは、これまでの知識や経験に基づいて、商品やサービスを選択することになりますが、そのときに目印になるのが「商標」なのです。
たとえば、あなたが家電量販店に行ったとき、陳列されている商品に印刷してあるロゴマークなどを目にすると思います。このロゴマークを見れば、どこのメーカーのものかは容易に判別できますね。このロゴマークも「商標」として機能しています。
このように商標は、社名を連想させるものや、商品シリーズを認識させるものなど、企業のブランド戦略にとって重要な財産になっています。商標は、あなたの生活に溶け込んでおり、消費者にとって有効な情報源になっていると同時に、経済の活性化に大きな役割を果たしています。
その商標を保護する権利が商標権です。
もし商標権が存在しなければ、同じネーミングをつけた商品・サービスを誰でも製造・販売することができてしまいます。長年の企業努力により、消費者・需要者の信用が商標に化体されているにもかかわらず、無関係な企業が同じネーミングを同じ商品に使用すれば、元祖である企業は大きな損害を被ります。また、消費者・需要者に対しても、実はお気に入りのメーカーとは異なるメーカーの商品だったという事態になり、商品の購入時に混乱が生じ、不測の不利益を与えてしまいます。
したがって、商標法は、消費者・需要者が商品・サービスを選択する手がかりとなる有効な標識を法律で保護することにより、それを不当に使用する者を排除し、また、経済社会の秩序を維持して消費者・需要者に信頼を与え、産業の発達に寄与することを目的としています。
商標の機能は、次の3つです!
商品またはサービスの出所を表示する機能を意味します。
同一の商標を付した商品またはサービスは、いつも一定の生産者・販売者またはサービス提供者によるものであることを示す機能です。
消費者・需要者は、商品またはサービスに付された商標を認識して、自分の求める商品・サービスを手に入れようとします。商標は、その商品やサービスを提供する者にとって自己の商品やサービスを他人のものと区別する機能(「自他商品・役務識別機能」ともいいます)を有しています。
商品の品質またはサービスの質を保証する機能を意味します。
同一の商標を付した商品またはサービスは、いつも一定の品質または質を備えているという信頼を保証する機能です。
一定の品質や質を保った商品やサービスを提供することにより、消費者・需要者から信用や信頼が得られ、その商品やサービスにつけられている商標を見ただけでどのような品質の商品なのか、どのような質のサービスなのかがわかるようになります。商標によって保証された品質を確認してその商品を購入したり、サービスの提供を受けることが可能になり、長年にわたって培われた商標の信用・信頼が商品・サービスの品質を保証することになっています。
商品またはサービスを広告する機能を意味します。
商標を広告に使用することにより、その事業者の商品またはサービスであることを消費者・需要者に伝え、商品またはサービスの購買・利用を喚起させる機能です。
テレビや新聞などで自己の商標を付した商品・サービスを宣伝・広告することは、今までその商品・サービスを利用していた消費者・需要者に対してさらにその信用・信頼を深く印象づけることになります。また、今まで利用したことのない消費者・需要者に対しても、そのイメージを深く印象づけることによって購入を促進し、新しいファンを獲得することができます。このように商標は需要拡大の寄与しています。
知的財産権はどんな権利でも同じことがいえますが、権利を取得することだけが目的ではありません。知的財産権を使用したり、活用することでその価値が発揮されていきます。特に商標権の場合には、商標登録することにあまり意味がなく、その登録商標を継続して使用していき、消費者・需要者から商標にブランドとしての信用や信頼を抱くことによってはじめて意味があります。このため、商標権の取得は、ブランドを形成する過程において、そのはじめのステップとなるものです。
現在のグローバル社会において、製品やサービスに付された商標は、海を越え、世界中の消費者に届きます。商標権者や正当な商標使用者が企業努力を重ねることにより、この商標には消費者から大きな信頼・安心・信用が寄せられ、やがてブラントが形成されていきます。こうして得られたブランドは、それ自体に商業的価値を持つようになり、企業にとって重要な資産となります。
ブランドの価値は、消費者に認められることから始まります。本当に価値のあるブランドは、その価値によって人々の文化創造に貢献してきたということができます。例えば、個人の満足に答えるブランドは、トレンドや感性に訴える趣味的文化すらも創造してきたと評価することができるでしょう。
新しいブランドを創造していくことは、新しい文化を創造するということです。その意味においても、良いブランド作りに成功すれば、新しい価値や文化が世界中をかけめぐることになるのです。
ブランドは、企業努力のもとで、長い時間をかけて商標を使用した結果、消費者の信頼を勝ち取り、当該商標に化体されたものと定義することができます。このため、ブランドと商標は、表裏一体的な関係のものです。この意味において、ブランドは、商標の継続使用によってはじめて形成される概念であり、特許権とは比較にならない程の莫大な商業的価値を備えたものです。
いつも何気なく見ている商品・サービスのCMやポスター、雑誌広告。不意に口ずさむキャッチフレーズ。それらの宣伝広告のなかには商標が表記され、その商標を見ただけで企業イメージやその商品・サービスを連想することができてしまいます。商標は、そのぐらい強力な企業の顔、商品・サービスの顔となり、商品・サービスの売上に貢献しているのです。
今日では、他社のものと区別するために、オリジナリティが高い商標を創作したり、選択する傾向にあります。特にトレンドの語調を意識したもの、新しい機能を表現したものなど、多種多様の商標が目立ってきました。
これらの傾向は、まさにブランドを意識したものです。高いブランド形成に成功すれば、価格競争を回避するだけでなく、自社のファン・信者・タニマチからの支援によって企業経営がますます安定していきます。
それがまさに「ブランドのパワー」です。
あなたが、商品を購入したり、サービス(役務)の提供を受けるとき、個々の商品やサービスの中身を確かめなくてもその商品やサービスにつけられているネーミングやロゴ)を見ることで、商品やサービスの出所がわかり、それを目安として購入することができます。このネーミングやロゴが「商標」であり、自己の商品やサービスを表示し、自己の商品やサービスを他人の同種の商品やサービスと識別する標識です。このような商標を保護するための法律として商標法が存在します。
商標は、商品を製造・販売したり、サービスを提供する事業者が営業努力によって信用や信頼を築いたものであり、消費者は商標を手がかりに安心して商品を購入したり、サービスの提供を受けることができるのです。
商標法は、商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用を他人に悪用されることを防ぎ、経済社会における競業秩序を維持して、消費者の商標に対する信頼に応え、産業の発達に寄与することを目的としています。
特許法や意匠法では、発明や意匠の保護と利用を図るということから、一定の期間、権利者に独占排他的な権利を与えますが、その期間が経過すれば、一般人に開放して、社会の共有財産とすることを想定しています。
これに対して、商標法では、商標を使用する者の業務上の信用を図るものであることから、特許権や意匠権のように存続期間を限る必要はありません。むしろ業務上の信用は、商品を製造・販売し、サービスを提供している限り保護される必要があります。その一方で、全く使用されていない商標は保護する必要がないといえます。
そこで、商標法では、商標の存続期間を設定登録の日から10年と定め、この間に使用されずに不要となった商標を整理する機会を設ける一方、使用され続けて信用が蓄積している商標については、10年が経過した後も、何度でも更新申請を繰り返すことを認め、半永久的に商標権を存続できるようにしています。
商標は、特許庁に登録されることにより商標権が発生します。商標権は登録された商標を独占排他的に使用することを認める権利です。このように、わが国では、登録されることで商標権が発生する登録主義を採用しています。
一方、米国などでは商標を使用することで権利が発生するという考え方を採用しており、これを使用主義といいます。
登録主義では、商標法に規定する登録要件を備えていれば、実際に商標を使用しているか否かにかかわらず設定登録して商標権を発生させることになります。登録主義を徹底すると、実際に使用する意思もないのに、他人に使わせないように防衛的に商標登録出願を行うことやストック商標が増加するという弊害が認められます。
このため、わが国の商標法は、原則として登録主義を採用しつつも、一部に使用主義的な考え方を取り入れ、商標法の目的に適う規定になっています。
異なる出願人によって同一または類似する商品やサービスに同じ商標が登録されてしまうと、消費者・需要者が誤認や混同を招く事態になってしまいます。このめ、1つの登録のみを認めるべきという考え方のもとで、2つ以上の同一または類似する商標登録出願が競合した場合には、使用の先後ではなく、最先に特許庁に出願した者に登録が認められます。これを先願主義といいます。
なお、同一の商標に関し、同じ日に複数の商標登録出願がなされたときは、出願人同士が協議を行い登録を受ける者を決定します。しかしながら、その協議が成立しない場合には、特許庁長官が行う公正な方法による「くじ引き」で決定されます。
わが国の商標法でも、特許法および意匠法と同様に、審査主義を採用しています。審査主義とは、登録を受けるための法定の要件を備えているか否かを特許庁で審査し、登録要件を満たしているものに権利を設定するというものです。
商標には、商品について使用される標識と、役務(サービス)について使用される標識があります。
商標法では、商標を「文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」と定義しています。大別すれば、文字商標、図形商標、記号商標、立体商標、結合商標、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標、位置商標があります。
文字のみからなる商標をいいます。文字は、片仮名、平仮名、漢字、ローマ字、外国語、数字などによって表されます。その文字商標が特定の意味を有するか否かは問いません。ただし、わが国の消費者が一般に文字と理解できないものは図形商標とされる場合があります。
【文字商標の登録例】
写実的なものから図案化したもの、幾何学的模様などの図形のみから構成される商標をいいます。また、図形同士を結合した商標もあります。文字商標も図案化されたものは図形商標とされる場合があります。
【図形商標の登録例】
暖簾(のれん)記号、かな文字、アルファベット文字を輪郭で囲んだもの、文字を図案化し組み合わせた(モノグラム化した)記号、記号的な紋章からなる商標をいいます。
【記号商標の登録例】
商標を立体化したもの、包装容器のように容器自体を特殊な形状にして商標として使用するもの、実在または架空の人物、動物などを人形のように立体化したものをいいます。
【立体商標の登録例】
異なる意味合いを持つ文字と文字、図形と図形、図形・記号などと文字の2つ以上を組み合わせた商標をいいます。
【結合商標の登録例】
文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標(例えば、テレビやコンピューター画面等に映し出される変化する文字や図形など)をいいます。
【動き商標の登録例】
登録第6041905号
文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標(見る角度によって変化して見える文字や図形など)をいいます。
【ホログラム商標の登録例】
登録第5908592号
単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標(これまでの図形等と色彩が結合したものではない商標)をいいます。例えば、商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩など。
【色彩のみからなる商標の登録例】
音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標をいいます。例えば、CMなどで使われるサウンドロゴやパソコンの起動音など。
【音商標の登録例】
文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標をいいます。
【位置商標の登録例】
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