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商品又は役務の類否判断基準を学ぶ!
商標出願では、商品又は役務の類否判断が争点になることはほとんどありません。特許庁では、指定商品又は指定役務の類似群コードを定めており、その類似群コードが共通していれば、同一・類似と画一的に判断されます。また、類似群コードが異なっていても、商品又は役務が類似すると判断されることもあります。
商標法4条1項11号の拒絶理由というよりも、特許庁から商標法3条1項3号の記述的商標と指摘された場合や商標法4条1項16号の品質誤認と指摘された場合に、指定商品又は指定役務の特性から反論する際に、商品又は役務の類否判断基準がヒントになることがあります。
商品又は役務の類否判断基準は、特許庁の商標審査基準に規定されています。特許庁の商標審査基準をよく理解し、商品又は役務の類否の考え方を習得しましょう。
商標出願では、商品又は役務の類否が争点になることは稀ですが、商標と商品との関係、商標と役務との関係を正しく認識するためには、商品又は役務の類否判断基準を徹底的に理解する必要があります。このため、特許庁の商標審査基準は、暗記暗唱するくらい読み込んでください。
以下、特許庁の審査基準に沿って説明します。
商品又は役務の類否は、商品又は役務が通常同一営業主により製造・販売又は提供されている等の事情により、出願商標及び引用商標に係る指定商品又は指定役務に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品又は役務と認識されるおそれがあると認められる関係にあるかにより判断する。
商品の類否を判断するに際しては、例えば、次の基準を総合的に考慮するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。
役務の類否を判断するに際しては、例えば、次の基準を総合的に考慮するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。
商品と役務の類否を判断するに際しては、例えば、次の基準を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断するものとする。この場合には、原則として、類似商品・役務審査基準によるものとする。
本号に該当する旨の拒絶理由通知において、引用した登録商標の商標権者(以下、「引用商標権者」という。)から、引用商標の指定商品又は指定役務と出願商標の指定商品又は指定役務が類似しない旨の陳述がなされたときは、類似商品・役務審査基準にかかわらず、出願人が主張する商品又は役務の取引の実情(ただし、上記(1)から(3)に列挙した事情に限る)を考慮して、商品又は役務の類否について判断することができるものとする。
なお、以下のような場合には、取引の実情を考慮することはできない。
【橘政宗】最三小判昭和36年6月27日(昭和33年(オ)第1104号)民集15巻6号1730頁
[判旨]「商標が類似のものであるかどうかは、その商標を或る商品につき使用した場合に、商品の出所について誤認混同を生ずる虞があると認められるものであるかどうかということにより判定すべきものと解する。そして、指定商品が類似のものであるかどうかは、原判示のように、商品自体が取引上誤認混同の虞ががあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞があると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずる虞がないものであっても、それらは商標法にいう類似の商品にあたると解するのが相当である。」
この解釈については、上記した特許庁の商標審査基準が参考になります。
すなわち、下記の考慮要素を総合的に考慮して、商品の出所の混同が生じるおそれがあるかどうかが判断されます。
特許庁の商標審査基準は、法令ではなく、あくまで参考にすぎないものです。このため、訴訟手続では、具体的事案に応じた事実関係の相違を踏まえた的確な主張をすることが必要です。商標審査基準における考慮要素に単に当てはめるだけでは、商品又は役務の類否を主張する際の要件事実として不十分と判断されます。
この点については、上記橘政宗判決の示した判断基準に準じて、同一又は類似の標章を使用したときに、役務の出所(提供主体)の混同が生じるおそれがあるかどうかによって決定されます。この判断にあたっての考慮要素は、特許庁の商標審査基準が参考になります。
すなわち、下記の考慮要素を総合的に考慮して、役務の出所(提供主体)の混同が生じるおそれがあるかどうかが判断されます。
この点については、以下のヴィラージュ事件判決の示した判断基準が参考になります。
【ヴィラージュ事件】東京地判平成11年10月21日(平成11年(ワ)第438号)判例タイムズ1019号250頁
[判旨]「役務と商品とが類似するかどうかに関しては、前述の商標法の目的や商標の定義に照らし、役務又は商品についての出所の混同を招くおそれがあるかどうかを基準にして判断すべきであり、商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか、商品と役務の用途が一致するかどうか、商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか、需要者の範囲が一致するかどうかなどの事情を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断するのが相当である。
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