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マドプロ便利だけど、万能ではない!

中国・米国への商標出願はマドプロ?直接出願?海外商標出願のルート選択

海外で商品やサービスを展開する場合、日本で取得した商標権だけでは、進出先の国で商標を保護することはできません。

中国、米国、欧州など海外でブランドを展開するのであれば、進出国ごとに商標権を取得する必要があります。

その際に問題になるのが、

「マドプロ(マドリッド・プロトコル)を利用するのか、それとも各国へ直接出願するのか」

という出願ルートの選択です。

実務では、「マドプロの方が便利」「直接出願の方が確実」と一律に決めるのではなく、対象国、商品・サービス、事業展開、商標の使用状況などを踏まえて、国ごとに出願方法を検討することが重要です。

マドプロと直接出願の違い

海外商標出願には、大きく分けて「マドプロによる国際登録」と「各国への直接出願」という方法があります。

マドプロを利用すると、日本の基礎出願・基礎登録を基礎として、複数の加盟国をまとめて指定することができます。

複数国に商標を展開する企業にとって、手続をまとめやすいことは大きなメリットです。

一方、直接出願では、中国なら中国、米国なら米国というように、各国の商標制度に従って個別に出願します。

そのため、国ごとの審査実務や商品・役務の記載方法などを踏まえて、より細かく出願内容を設計できる場合があります。

つまり、

「マドプロか直接出願か」という二択ではなく、各国の事情を踏まえて使い分ける

という発想が重要になります。

中国商標は直接出願を検討する

中国への商標出願については、マドプロだけに頼るのではなく、直接出願を検討することがあります。

中国商標の審査では、指定商品・役務の選択や商標の類否など、中国独自の実務を踏まえた対応が重要になります。

また、マドプロを利用した場合でも、中国側で拒絶通報を受けることがあります。

その場合には、中国の制度に沿った対応が必要になります。

海外商標出願では、「一度の手続で複数国に出願できる」というマドプロの利便性だけを見るのではなく、

その国で実際にどのような商標権を取得したいのか

という観点から出願方法を考えることが大切です。

特に中国で本格的に事業展開する企業であれば、中国市場を一つの独立した重要市場として捉え、中国の商標制度・審査実務を踏まえた出願戦略を検討することが重要です。

米国商標では商品・役務の指定が重要

米国についても、マドプロを利用することは可能ですが、米国商標制度の特徴を踏まえた検討が必要です。

特に重要なのが、指定商品・役務の記載方法です。

日本では、一定の範囲で商品・役務をまとめて指定する実務がありますが、米国商標では、実際の使用状況や使用予定との関係を意識して、商品・役務を具体的に検討することが重要になります。

単に日本の商標出願の指定商品・役務をそのまま海外に持っていけばよい、というものではありません。

米国でどの商品・サービスについて商標を使用しているのか。

今後、どの商品・サービスについて商標を使用する予定なのか。

その事業内容と商標出願の内容が適切に対応しているのか。

こうした点を検討した上で、米国への出願内容を設計する必要があります。

そのため、米国については、マドプロを利用する場合でも、米国の制度・審査実務を意識した指定商品・役務の設計が重要になります。

マドプロには「セントラルアタック」という注意点もある

マドプロには、複数国へ一括して出願しやすいというメリットがある一方、注意すべき制度があります。

その一つが、いわゆるセントラルアタックです。

国際登録は、一定期間、基礎となる日本の出願・登録の影響を受けます。

そのため、基礎出願・基礎登録について拒絶、無効、取消しなどの問題が生じると、国際登録にも影響する可能性があります。

海外で重要なブランドを展開する企業にとっては、このようなリスクも含めてマドプロを利用するかどうかを判断する必要があります。

したがって、

「複数国に一度に出願できるからマドプロ」

という単純な判断ではなく、メリットとリスクの双方を検討することが大切です。

中国は直接出願、その他の国はマドプロという選択も

海外展開では、必ずしもすべての国について同じ出願ルートを選択する必要はありません。

例えば、中国、欧州、米国など複数の国・地域への商標出願を検討している場合、

中国については直接出願を選択し、それ以外の国についてはマドプロを利用する

というように、国ごとに出願ルートを使い分けることも考えられます。

もちろん、どの方法が適切なのかは、企業の事業内容や進出計画、商標の使用状況、取得したい権利の範囲などによって変わります。

重要なのは、出願方法そのものを目的にしないことです。

海外商標出願は「事業戦略」から逆算する

海外商標出願で最も重要なのは、

「どのルートで出願するか」よりも、「どの国で、どのブランドを、どの商品・サービスについて保護するのか」

を先に考えることです。

例えば、

  • 今後重点的に進出する国はどこなのか
  • その国でブランドをどのように使用するのか
  • 現地で模倣品やブランドのただ乗りが発生する可能性はないか
  • 将来的にライセンスやフランチャイズ展開を予定しているか
  • どの商品・サービスについて商標権を取得する必要があるか
  • マドプロと直接出願のどちらが事業に適しているか

といった事項を総合的に検討します。

そして、進出国の優先順位を決め、その上で各国の出願ルートを決定するのです。

海外商標出願は、単なる「外国への商標出願手続」ではありません。

企業の海外展開を支える知財戦略の一部です。

国ごとに最適な海外商標戦略を考える

マドプロにはマドプロのメリットがあり、直接出願には直接出願のメリットがあります。

また、同じ企業であっても、国によって適切な出願方法が異なることがあります。

したがって、

「マドプロが良いのか、直接出願が良いのか」

という一般論だけで判断するのではなく、

「自社の海外事業にとって、どの国に、どのような商標権を、どのような方法で取得するのが合理的なのか」

という視点から検討することが重要です。

私は、海外商標出願についても、単に出願手続を行うだけではなく、企業の事業戦略や海外展開を踏まえた商標権の取得方法を検討しています。

中国、米国をはじめとする海外への商標出願をご検討の場合には、対象国や事業内容、商標の使用状況などを踏まえ、適切な出願戦略を検討することが重要です。

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